特許情報
RFIDシステム及びアンチコリジョン処理方法
【公開番号】特開2011-107894(P2011-107894A)
【公開日】平成23年6月2日(2011.6.2)
【国際特許分類】
物理学 | 計算;計数 | データの認識;データの表示;記録担体;記録担体の取扱い | メイングループ1/00から15/00の2つ以上のメイングループに包含される装置を共動させるための方法または装置,例.移送および読取り動作と共動する自動カードファイル
電気 | 電気通信技術 | 伝送 | 近接電磁界伝送方式,例.誘導ループ型 | 送受信機を用いるもの
電気 | 電気通信技術 | 伝送 | グループ3/00から13/00の単一のグループに包含されない伝送方式の細部;伝送媒体によって特徴づけられない伝送方式の細部 | レスポンダ;トランスポンダ
【出願番号】特願2009-260983(P2009-260983)
【出願日】平成21年11月16日(2009.11.16)
【出願人】(509317405)非接触テクノロジー株式会社
【課題】複数のRFIDタグが重なった状態でもデータの衝突を完全に防止し、各RFIDタグのデータを瞬時に且つ正確に読み取ることができるRFIDシステムを提供する。
【解決手段】RFIDタグ1のUIDに特定の周波数+nからなる変調信号を連結してUID付変調信号を設定する。該UID付変調信号を記録した複数のRFIDタグ1を設ける。各RFIDタグ1のUID付変調信号を記憶した記憶装置4を設ける。ループアンテナ3内で作動するRFIDタグ1を確認するためにポーリングしてRFIDタグ1のUID付変調信号の中からUIDを読み込む制御装置5を設ける。作動が確認されたRFIDタグ1のUID付変調信号の中から変調信号の周波数を確認する変調モジュール6を設定する。確認した周波数の信号を送信する発信機7を設ける。該発信機7で送信された信号に電磁誘導された各RFIDタグ1の情報をリーダ・ライタ2で読み取る。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、RFIDタグ固有の識別情報を非接触で読取るRFIDシステム及びアンチコリジョン方法に係り、各RFIDタグの識別情報を個々に読み取る際に、データの衝突を防止するRFIDシステム及びアンチコリジョン処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
RFID(Radio Frequency IDentification)とは、カード状またはタグ状の媒体に、電波を用いてデータを記録または読出しを行い、アンテナを介して通信を行う認識方法を総称する。このRFIDを利用したRFIDシステムは、固有の識別番号やデータ等を記録したRFIDタグの情報を、RFIDリーダで読取る装置である。
【0003】
RFIDタグは、メモリが搭載された半導体チップとアンテナから構成されている。この半導体チップのメモリに、固有の識別番号やデータなどの情報を記録する。このRFIDタグには、電池を内蔵するアクティブタグと、RFIDリーダからの電磁誘導やマイクロ波を用いてRFIDタグに電源を供給するパッシブタイプがある。
【0004】
RFIDリーダは、通信処理を行う半導体チップ、アンテナ、コンピュータなどの機器と接続するためのポートなどから構成されている。そして、コンピュータの指令でRFIDリーダからRFIDタグにコマンドを送信することで、RFIDタグ内のメモリから情報を読み取ったり、RFIDタグ内のメモリに情報を書き込んだりする装置である。
【0005】
また、RFIDシステムは、無線周波数帯によってRFIDタグの電力の供給方法が異なる。RFIDで利用される周波数帯として、125k~135kHz帯、13.56MHz帯、2.45GHz帯、860M~960MHz帯(UHF帯)などがある。この中でも特に13.56MHz帯は、電磁誘導を利用するパッシブタイプのRFIDタグが使用可能であり、多数のRFIDタグを利用する管理システムなど現在最も多く利用されている。
【0006】
パッシブタイプのRFIDタグにおいて、RFIDタグから情報を読み取る際に、複数のRFIDタグが同時に応答を行うと、所謂データの衝突が発生し、個別情報が正しくRFIDリーダに認識されないことがある。これを回避するための仕組みがアンチコリジョン(衝突防止)と称されている。たとえば、13.56MHz帯のRFIDシステムなどで一般的に利用されているALOHA方式のアンチコリジョンの処理方法は次のとおりである。
【0007】
まず、RFIDリーダは、RFIDタグのメモリ内の特定のビット(1~4bit程度)をタイムスロットとして指定する。するとRFIDタグは、タイムスロットのデータに応じて、応答のタイミングをずらす。たとえば2bitのタイムスロットを利用する場合、「00, 01, 10, 11」の四種類のデータ毎に、異なるタイミングでリーダに応答する。タイミングごとに同時に応答したRFIDタグが一つのみの場合、そのRFIDタグのデータは正常に受信することができる。RFIDリーダは、そのRFIDタグに対して,一定時間応答しないスリープ状態にするコマンド(Sleep/Mute)を送信する。一方、タイミングごとに、同時に複数のタグが応答した場合、衝突(コリジョン)が検知される。この場合、メモリ内の別の2ビットをタイムスロットとして、「00, 01, 10, 11」の四種類のデータ毎に、異なるタイミングでリーダに応答する処理を繰り返す。衝突を起こさずに全てのRFIDタグが読み取り完了となった後、最後にRFIDリーダはRFIDタグをスリープ状態から復帰させるコマンド(Wake Up)を送信し、一連の処理を終了する。
【0008】
このように、従来のアンチコリジョン処理方法では,同時に読み取れるタグが一つになるまで、何度もタイムスロットを変更して再検索を繰り返すので、複数のRFIDタグを読み取る場合、全てのタグを読み取るまでに時間がかかるといった不都合や、一度に読み込むRFIDタグの数が増えると、読取にかかる時間は更に増加するといった不都合が生じている。
【0009】
そこで、このようなアンチコリジョンの処理効率を向上させるための処理方法や装置について種々提案されている(特許文献1乃至3)。
【0010】
特許文献1におけるアンチコリジョン処理方法は、各無線タグ装置が保持するUID情報の一部の領域をSub‐ID領域として割り当てておくもので、読取り装置(RFIDリーダ)は、無線タグ装置(RFIDタグ)に読取り要求情報をブロードキャスト送信しこれを受信した各無線タグ装置は自らのSub‐ID情報を返信する。読取り装置は、各無線タグ装置から送信されたSub‐ID情報を用いてアンチコリジョンを行い、取得するUID情報に係るSub‐ID情報を“×××”と特定する。そして、読取り装置は、Sub‐ID情報が“×××”である残UID情報(UID情報のうち当該Sub‐ID情報以外の部分)を無線タグ装置から取得し、UID情報を再構築する、というものである。
【0011】
また、特許文献2では、RFIDタグにアンチコリジョン対応機能を搭載すると共に、共振容量のオンオフを切り替えるためのスイッチング回路を設けたものである。これにより、一定程度のRFIDタグ側の電源電圧/動作電圧が得られたならば、個々のRFIDタグの識別は、アンチコリジョン対応機能で行うことができるため、共振周波数の変化は比較的ラフに設定しても安定な動作が確保できるというものである。
【0012】
更に、特許文献3は、割当スロット数の決定に要する演算負荷を軽減することができる無線通信装置を提供しようとするものである。すなわち、従来のアンチコリジョンにおいて、各RFIDタグにタイムスロットを割り当てる都度、所定の確率計算を行って新たな割当スロット数を決定していたので、複雑な確率計算を何度も高速で繰り返すことに対応できる高い演算処理能力が要求されていた。そこで、特許文献3では、割当可能なスロット数の種類毎に、当該スロット数とこのスロット数の次に大きいスロット数とで、1つのスロットに前記識別情報を含ませて伝送する未読応答装置が1つである確率が等しくなるときの未読応答装置数を記憶する対応データ記憶部と、前記信号を送信する前の時点の前記未読応答装置の実数と前記対応データ記憶部に記憶されている未読応答装置数とを比較し、前記実数より大きい最小の未読応答装置数を選択して当該未読応答装置数に対応したスロット数を読み出す検索手段と、この検索手段により前記記憶部から読み出した数のスロットを割り当てる信号を前記アンテナから送信させる制御手段と、を具えることで、割当スロット数の決定に要する演算負荷を軽減することができる無線通信装置を提供しようとしたものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】特開2006-148522号公報
【特許文献2】特許第3614157号公報
【特許文献3】特許第4256889号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
ところが、これら特許文献1乃至3に記載されているアンチコリジョン処理方法や装置は、いずれも複数のRFIDタグのデータが衝突しなくなるまでアンチコリジョン処理を実行している。すなわち、データ衝突とは、RFIDリーダから特定周波数の無線信号を発信すると各RFIDタグは共振するので、個々に干渉して団体結合現象(例えば二つのRFIDタグが重なり合った状態で1個のRFIDタグとして識別してしまう現象)が生じ、正確なデータとして判定できなくなる状態である。特許文献1乃至3に記載されている処理方法や装置は、いずれもデータが衝突して判定できなくなったRFIDタグがなくなるまで繰り返しアンチコリジョン処理を行う方法である。
【0015】
この結果、従来のアンチコリジョン処理方法では、全てのRFIDタグから情報を読み込むまでにアンチコリジョン処理を繰り返す時間がかかるため、例えば、複数のRFIDタグが物理的に重なった状態になると、全てのRFIDタグの情報を瞬時に読み取ることはできなかった。しかも、アンチコリジョン処理を繰り返して全てのRFIDタグの情報を読み取ることができたとしてもエラー情報が含まれてしまうなど、現実的な運用に多くの課題が残されていた。例えば、複数のRFIDタグが重なった状態になっていると、RFIDタグの情報が結合して一方の情報が消去されるといった、所謂、固体結合と称する現象が生じ、正確な情報を読み取ることは極めて困難であった。そのため、複数のRFIDタグが重なった状態でもデータが衝突せずRFIDタグの情報を瞬時に且つ正確に読み取ることができるRFIDシステムやアンチコリジョン処理方法の提供が望まれている。
【0016】
そこで本発明は、上述の課題を解消し、複数のRFIDタグが重なった状態でもデータの衝突を完全に防止すると共に、各RFIDタグのデータを瞬時に且つ正確に読み取ることができるRFIDシステム及びアンチコリジョン処理方法の提供を目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0017】
上述の目的を達成すべく本発明における第1の手段は、ループアンテナ3内に配置されたRFIDタグ1の情報をリーダ・ライタ2が発信する無線信号にて非接触で認識するRFIDシステムにおいて、RFIDタグ1のUIDに特定の周波数+nからなる変調信号を連結してUID付変調信号を形成し、該UID付変調信号を記録した複数のRFIDタグ1と、各RFIDタグ1のUID付変調信号を記憶した記憶装置4と、ループアンテナ3内で作動するRFIDタグ1を確認するためにポーリングしてRFIDタグ1のUIDを読み込む制御装置5と、作動が確認されたRFIDタグ1のUID付変調信号の中から変調信号の周波数を選択する変調モジュール6と、該変調モジュール6にて選択した周波数の信号を送信する発信機7と、を備え、該発信機7で送信された信号に電磁誘導された各RFIDタグ1の情報をリーダ・ライタ2で読み取るRFIDシステムにある。
【0018】
第2の手段は、前記リーダ・ライタが発信する無線信号を13.56MHz帯域とし、前記RFIDタグに記録する変調信号は各RFIDタグのUIDの末尾に13.56+n(n=0.001~0.007MHz)からなる変調信号を連結して設定されたものである。
【0019】
第3の手段は、ループアンテナ3内に配置されたRFIDタグ1の情報をリーダ・ライタ2が発信する無線信号にて非接触で認識するRFIDシステムのアンチコリジョン処理方法において、RFIDタグ1のUIDに特定の周波数+nからなる変調信号を連結してUID付変調信号を設定し該UID付変調信号をRFIDタグ1に記録する手段と、該UID付変調信号を記録した複数のRFIDタグ1の中からループアンテナ3内で作動するRFIDタグ1を確認するためにポーリングして各RFIDタグ1のUID付変調信号からUIDを読み込む手段と、作動が確認されたRFIDタグ1のUID付変調信号から変調信号の周波数を選択して選択された周波数の信号を送信する手段と、を備え、該UID付変調信号で各RFIDタグ1の情報をリーダ・ライタ2で読み取るアンチコリジョン処理方法にある。
【0020】
第4の手段において、前記リーダ・ライタ2が発信する無線信号を13.56MHz帯域とし、前記変調信号は各RFIDタグ1のUIDの末尾に13.56+n(n=0.001~0.007MHz)からなる変調信号を連結して設定したことを課題解消のための手段とする。
【発明の効果】
【0021】
本発明のRFIDシステム及びアンチコリジョン処理方法により、各RFIDタグ1の情報は、個々の変調信号によって読み取ることができる。この結果、従来のデータ衝突は皆無となり、各RFIDタグのデータを正確に読み取ることができるものである。
【0022】
しかも、従来のRFIDシステムやアンチコリジョン処理方法のように、データが衝突してから判定できなくなったRFIDタグがなくなるまでアンチコリジョン処理を繰り返す手法と異なり、はじめからデータ衝突が生じないので、各RFIDタグのデータを瞬時に且つ正確に読み取ることができる。したがって、例えばスーパーマーケット等において商品に装着されたRFIDタグの情報をレジで読み取る際に、多数の商品を買い物かごの中に入れた状態で一括して読み取ることが可能になるなどといった極めて実効性の高い使用が可能になった。
【0023】
更に、リーダ・ライタ2が発信する無線信号を13.56MHz帯域とし、前記変調信号はRFIDタグ1のUIDの末尾に13.56+n(n=0.001~0.007)からなる変調信号を連結して設定したことで、最も一般的に使用されている各システムに利用することが可能になり、極めて汎用性に富むといった利点もある。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明のシステムの一実施例を示す該略図である。
【図2】本発明のアンチコリジョン処理方法を示すフロー図である。
【図3】本発明のUID付変調信号の設定状態を示す概念図である。
【図4】本発明の変調信号の設定状況を示す概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
本発明によると、複数のRFIDタグが重なった状態でもデータの衝突を完全に防止すると共に、各RFIDタグのデータを瞬時に且つ正確に読み取ることができるなどといった当初の目的を達成した。
【実施例】
【0026】
本発明は、発信機7で送信された信号に電磁誘導された各RFIDタグ1の情報をリーダ・ライタ2で読み取るRFIDシステムであり、RFIDタグ1、リーダ・ライタ2、ループアンテナ3、記憶装置4、制御装置5を主要構成とする(図1参照)。
【0027】
RFIDタグ1は、リーダ・ライタ2からの電磁誘導を用いてRFIDタグ1に電源を供給するパッシブタイプを使用する。また、RFIDタグ1には電磁誘導のためのアンテナコイルが備えられると共に、数10バイト~数10Kバイトのメモリが搭載されて何度でも書き込みができるリード・ライトタグを使用する。本発明システムで利用する無線周波数帯は、現在最も幅広く利用されて13.56MHz帯を利用する。
【0028】
リーダ・ライタ2は、RFIDタグ1内のメモリからIDなどを、読み取り又は書き込みを行うための装置である。このリーダ・ライタ2は、通信処理を行う半導体チップと、電波を通して通信するためのアンテナ2Aと、PCなどの上位のシステムと接続するためのポート(シリアル,USB,無線LANなど)とから構成される。このリーダ・ライタ2から、アンテナ3Aを介してRFIDタグ1に無線でコマンドを送信すると、RFIDタグ1内のメモリに対してデータ(UIDなど)を読み取り又は書き込みすることができる。
【0029】
ループアンテナ3は、リーダ・ライタ2の無線信号によりに電磁誘導が発生する無線フィールドとなり、このループアンテナ3内にRFIDタグ1が入ってくると、RFIDタグ1に電力が自動的に供給されるものである。
【0030】
記憶装置4は各RFIDタグ1に記録したUID付変調信号を記憶する(図3参照)。このUID付変調信号とは、タグ1のUIDに特定の周波数+nからなる変調信号を連結して設定したものである。記憶装置4は、これらのUID付変調信号や、RFIDタグ1内のメモリに記録しているデータなどを記憶している。
【0031】
UID付変調信号は、本発明システムが利用する13.56MHz帯域を更に細分化した変調信号とRFIDタグ1に予め設定されているUIDとを組み合わせたものである。この変調信号は、13.56+n(n=0.001~0.007MHz)で細分化する。すなわち、ベースバンド信号を13.56MHzとすると、0.001MHz単位の搬送波を設定してベースバンド信号と組み合わせることで、変調信号(13.561MHz、13.562MHz、13.563MHz、13.564MHz、13.565MHz、13.567MHz)となる(図4参照)。そして、RFIDタグ1のUIDの末尾にこれらの細分化された変調信号を連結して設定している(図3参照)。このとき、n=0.001~0.007MHzと設定したのは、実験により、安定した動作が確認できた範囲に基づくものである。
【0032】
制御装置5は、リーダ・ライタ2が受け取ったRFIDタグ1のUIDデータを、記憶装置4と照合し、特定の操作を実行する。こうした手順を繰り返すことで、リーダ・ライタ2とRFIDタグ1との間でデータ通信が行われる。更に、本発明では、ループアンテナ3内で作動するRFIDタグ1を確認するためにポーリングしてRFIDタグ1のUID付変調信号の中からUIDを読み込むといった、重要な機能を有している。
【0033】
すなわち、このポーリングにより、ループアンテナ3内で電力が自動的に供給されたRFIDタグ1を確認する。そして、制御装置5が作動状態のRFIDタグ1のUID付変調信号からUIDを読み取り、このUIDに接続された変調信号を確認する。
【0034】
変調モジュール6は、作動が確認されたRFIDタグ1のUID付変調信号の中から変調信号の周波数を確認すると共に、13.56MHzの信号を細分化した信号に変調し、後述する発信機7から変調信号を発信させる機能を有する。
【0035】
本発明システムで、リーダ・ライタ2がRFIDタグ1のUIDを読み取るには、まず制御装置5からループアンテナ3内のRFIDタグ1にポーリングを行い、作動するRFIDタグ1のUIDを確認する。変調モジュール6は、確認されたRFIDタグ1に記録してあるUID付変調信号から変調信号を選択し、発信機7を解して各RFIDタグ1の変調信号を発信する。この変調信号にのせてRFIDタグ1にコマンドが送信されると、タグがコマンドを解釈し、自分の持っているUIDデータを無線信号でリーダ・ライタ2に送信する。リーダ・ライタ2はUIDデータを受け取り、制御装置5に送信する。制御装置5では、そのUIDデータを記憶装置4と照合し、特定の操作を実行する。こうした手順を繰り返すことで、リーダ・ライタ2とRFIDタグ1との間でデータ通信が行われるものである。
【0036】
本発明システムでは、次のようなアンチコリジョン処理方法が採用されている(図2参照)。
【0037】
ステップ1は、制御装置5とリーダ・ライタ2とによって、UID付変調信号をRFIDタグ1に記録する手段である。この手段では、RFIDタグ1のUIDに特定の周波数+nからなる変調信号を連結してUID付変調信号を設定し、該UID付変調信号をRFIDタグ1に記録すると共に、記憶装置4にもUID付変調信号を記憶する。
【0038】
ステップ2は、RFIDタグ1のポーリング手段である。このポーリングは、該UID付変調信号を記録した複数のRFIDタグ1の中からループアンテナ3内で作動するRFIDタグ1を確認するために行われる。このポーリングによって作動が確認された各RFIDタグ1のUIDを読み込む。
【0039】
ステップ3は、発信機7から作動が確認されたRFIDタグ1のUID付変調信号から変調信号の周波数を選択し、該周波数の信号を送信し、RFIDタグ1の情報をリーダ・ライタ2で読み取る手段である。
【0040】
これらのステップを介し、UID付変調信号で各RFIDタグ1の情報をリーダ・ライタ2で読み取ると、複数のRFIDタグが重なった状態で配置されていてもデータが衝突せず、RFIDタグの情報を瞬時に且つ正確に読み取ることができる。
【産業上の利用可能性】
【0041】
本発明のシステムは、他の無線周波数帯域での使用も可能であり、また、RFIDタグ1として、電池を内蔵しているアクティブタグの利用も可能である。更に、本発明の構成は図示例に限定されるものではなく、本発明の要旨を変更しない範囲で自由な設計変更が可能である。
【符号の説明】
【0042】
1 RFIDタグ
2 リーダ・ライタ
2A アンテナ
3 ループアンテナ
4 記憶装置
5 制御装置
6 変調モジュール
7 発信機
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ループアンテナ内に配置されたRFIDタグの情報をリーダ・ライタが発信する無線信号にて非接触で認識するRFIDシステムにおいて、RFIDタグのUIDに特定の周波数+nからなる変調信号を連結してUID付変調信号を形成し、該UID付変調信号を記録した複数のRFIDタグと、各RFIDタグのUID付変調信号を記憶した記憶装置と、ループアンテナ内で作動するRFIDタグを確認するためにポーリングしてRFIDタグのUIDを読み込む制御装置と、作動が確認されたRFIDタグのUID付変調信号の中から変調信号の周波数を確認する変調モジュールと、該変調モジュールにて確認した周波数の信号を送信する発信機と、を備え、該発信機で送信された信号に電磁誘導された各RFIDタグの情報をリーダ・ライタで読み取ることを特徴とするRFIDシステム。
【請求項2】
前記リーダ・ライタが発信する無線信号を13.56MHz帯域とし、前記RFIDタグに記録する変調信号は各RFIDタグのUIDの末尾に13.56+n(n=0.001~0.007MHz)からなる変調信号を連結して設定された請求項1記載のRFIDシステム。
【請求項3】
ループアンテナ内に配置されたRFIDタグの情報をリーダ・ライタが発信する無線信号にて非接触で認識するRFIDシステムのアンチコリジョン処理方法において、RFIDタグのUIDに特定の周波数+nからなる変調信号を連結してUID付変調信号を設定し該UID付変調信号をRFIDタグに記録する手段と、該UID付変調信号を記録した複数のRFIDタグの中からループアンテナ内で作動するRFIDタグを確認するためにポーリングして各RFIDタグのUID付変調信号からUIDを読み込む手段と、作動が確認されたRFIDタグのUID付変調信号から変調信号の周波数を確認し該周波数の信号を送信する手段と、を備え、該UID付変調信号で各RFIDタグの情報をリーダ・ライタで読み取ることを特徴とするRFIDシステムのアンチコリジョン処理方法。
【請求項4】
前記リーダ・ライタが発信する無線信号を13.56MHz帯域とし、前記変調信号は各RFIDタグのUIDの末尾に13.56+n(n=0.001~0.007MHz)からなる変調信号を連結して設定された請求項3記載のアンチコリジョン処理方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】